きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

エルコンドルパサーの血

12月20日は、村田 一誠騎手、吉田 隼人騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

ヴァーミリアンが種牡馬を引退するそうです。競走馬としては頑健そのもで2歳から8歳まで7年連続でJRA認定の重賞を毎年勝ち続ける日本記録を誇り、うちJBCクラシック3連覇などG1を9勝するという強さでした。種牡馬としても初年度産駒から芝のフェアリーS勝ちのノットフォーマルを輩出するなど馬産地の期待を集めたものです。父エルコンドルパサー、母スカーレットレディの血統です。母の叔母スカーレットブーケはダイワメジャー、ダイワスカーレット兄妹を出しており、日本屈指の名門牝系に属す誇り高きサラブレッドです。

父エルコンドルパサーは現役当時、飛び抜けた最強馬として世界に君臨したモンジューと死闘を演じた凱旋門賞は今でも語り草になっています。文句のない名馬でした。オーナーブリーダーの渡邉隆さんがクリエイティブした配合は、その父キングマンボと母父サドラーズウェルズから名繁殖牝馬スペシャルをクロスさせ、ヨーロッパの重厚な馬場でも通用する底力を引き出すことでした。エルコンドルパサーの場合、3代母リサデルがスペシャルの全妹でかなり複雑なことになっているのですが。それはともあれ渡邉さんの発明はヨーロッパを中心に逆輸出され、ヘンリーザナヴィゲーターは英愛2000ギニーなどマイルG1を4連勝し、先日の香港Cで地元の英雄ワーザーや日本馬ネオリアリズムをまとめて圧逃したタイプワープの父アーチペンコなどを出して世界を席巻しました。英ダービーと凱旋門賞を勝ったワークフォースは応用篇です。日本発の新トレンドと高い評価を受けています。

しかしエルコンドルパサーは、わずか3世代だけを残して急逝し、後継馬も12歳まで第一線で走った老雄トウカイトリック、ジャパンCダートの強豪アロンダイトなど多くは乗馬となり、菊花賞馬ソングオブウインドも既に種牡馬引退していて、現役で種牡馬を続けているのは南関東で頑張っていたルースリンドがほとんど唯一の存在です。残念ですが父系としては、絶滅の運命を免れないようです。今後は宝塚記念とエリザベス女王杯を勝った1牝系孫のマリアライトなどを通じて血を残していくのでしょうが、活躍を祈るとともに一抹の寂しさもこみ上げてきます。

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