きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

エリザベス女王杯、名勝負

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今週のメインレースは……怒涛のGⅠ8連発の幕開け、第42回エリザベス女王杯です。
1975年にエリザベス2世が来日したことを記念し、76年に創設されたこのレースは、95年の第20回までは、京都競馬場の芝2400mを舞台に、4歳(現3歳)牝馬限定競走として施行されていました。
大きく変わったのは、その翌年、96年です。
牝馬競走体系の見直しにより、“4歳(現3歳)限定”から、“4歳(現3歳)以上牝馬”へ。これによって、4歳(現3歳)牝馬と古馬牝馬による対決が実現し、文字通り、女王決定戦となりました。

“牝馬No,1決定戦”の名にふさわしく、かつて、数多の名勝負が繰り広げられ、どれかひとつを選ぶというのは、ちょっと……いや、かなり困難です。
その中から、独断と偏見で、いくつかピックアップすると――。
真っ先に思い出すのは、牝馬三冠に輝いたアパパネと、イギリスとアイルランドのオークスを制したかスノーフェアリーの対決が実現した2010年のレースです。
外で伸びあぐねるアパパネを尻目に、鮮やかに内を抜けだしたスノーフェアリーの強さは、まさしく本物。圧巻のレースで、世界の強さを見せつけてくれました。
最後の4歳(現3歳)限定レースとして施行され、ヒシアマゾンが勝った94年のエリザベス女王も、忘れることができません。
最後の直線、インコースから先に抜けだしたのは、アグネスパレード。中央に、オークス馬チョウカイキャロル。そして、外からは、外国産馬のため、このレース一本に照準を定めていたヒシアマゾン。意地と誇りをかけた3頭の火の出るような激しい叩き合いは、日本の競馬史に残る名勝負でした。
ダンスパートナーが、トゥザヴィクトリーが、ファインモーションが、アドマイヤグルーヴが、ダイワスカーレットが……数奥の名牝がその名を刻んできたこのレースに、今年、新たに加わるのは、どの馬でしょうか。日曜日が待ちきれません。

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