きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2017.10.25

ダイヤモンドより貴重な経験

ようこそいらっしゃいませ。

英チャンピオンSを圧勝したクラックスマンは日本のソウルスターリングに続いてヨーロッパ圏では初となるG1制覇を父フランケルにもたらしました。オーナーであるアンソニー・オッペンハイマー氏は、ジョン・ゴスデン調教師、フランキー・デットーリ騎手との黄金トライアングルで一昨年、ダービー馬ゴールデンホーンをロンシャンに遠征させ凱旋門賞に挑み制覇しています。オッペンハイマー氏は今シーズンを振り返って、そのダイヤモンドより輝かしい貴重な経験がクラックスマンのローテーションに信じられない叡智をもたらしたと考えているようです。「もしゴールデンホーンで凱旋門賞を勝っていなければ、我々はエネイブルとの対決も辞さずに凱旋門賞へ向かっていたかもしれない」と述懐しています。

一方、ゴスデン厩舎でデットーリ騎手が手綱を執る僚馬のエネイブルがいます。ご存じオークス三冠とキングジョージ、凱旋門賞を総ナメにした歴史的名牝です。オッペンハイマー氏は「しかし我々は戦前からエネイブルの凄さを知っていた。今年はクラックスマンを凱旋門賞に出さないというのが正しい判断だと感じていたんだ」とも語り継ぎます。クラックスマンの来季については「キングジョージと凱旋門賞がビッグターゲット。両馬とも無事に過ごして、良い馬場で行われるキングジョージや凱旋門賞で対決できるかもしれない。それが楽しみだよ」と。

キングジョージといえば、オッペンハイマー家には縁浅からぬレースです。オッペンハイマー家は世界有数のダイヤモンド採鉱加工流通業デビアス社のオーナー一族として有名ですが、10年ほど前まで30年以上にわたって、キングジョージは正式名称で「キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドS」と呼ばれていました。ダイヤモンドのデビアスがスポンサードしていたことから、そう名付けられました。今ではエプソムダービーも凱旋門賞もスポンサーがバックアップするのが当たり前の時代ですが、当時としては競馬のブランド力を高く評価した希少なケースでした。この由緒あるレースでオッペンハイマー家の末裔の愛馬と今年に続いて連覇を狙う最強牝馬が直接対決すると思うと感慨がこみ上げてきます。ファンにとっては心踊る2018年シーズンになりそうです。