きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ファーラップの呪い

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昨日は今週日曜にオーストラリアのランドウィック競馬場で行われる世界最高賞金スプリントG1ザ・エベレストにエントリーした日本からの移籍馬ブレイブスマッシュの話題をお届けしましたが、今日も南十字星の国オーストラリア競馬の盛り上がりぶりをお伝えしましょう。今や国民的ヒロインとなったウィンクスは先日のG1ターンブルSで6馬身半もぶっちぎって21連勝と無敵街道を突っ走っています。これでG1も通算14勝とフランスの女帝ゴルディコヴァの記録に並びました。これを超える記録はと言えば、オーストラリアが生んだ褐色の超特急ブラックキャビアの15勝、世界記録は走る労働者とアメリカ国民から敬愛されたジョンヘンリーが、走りも走ったり生涯83戦39勝、うちG1は16勝という金字塔がそびえ立っています。

しかしウィンクスにとっては、その不滅の大記録も超えられない壁とはならないでしょう。次走はオーストラリアの中距離チャンピオン決定戦として有名なコックスプレート2040mで、まず母国の先輩ブラックキャビア超えを目指します。目下2連覇中で3連覇となれば、1983年のキングストンタウン以来34年ぶり史上2頭目の3連覇を達成することになります。10頭いる連覇達成馬の最初の馬がオーストラリアが誇る歴史的名馬ファーラップです。

オーストラリアに敵なしと圧倒的な強さを発揮した彼はアメリカに遠征、緒戦をレコードで楽勝しますが、一説によると毒を盛られて暗殺され二度と故国の土を踏むことはできませんでした。帰国して目指すはずだったコックスプレート3連覇の夢は幻と消えます。長い間3連覇ホースが現れなかったのは「ファーラップの呪い」ゆえと噂されてきました。ウィンクスの可憐な挑戦が「呪い」を跳ね返すことができるのか?今年のコックスプレートは歴史大河ドラマも併せて楽しめそうです。

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