きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ディープ第三の刺客

9月14日は、加藤 征弘 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

ディープインパクトは、今年の凱旋門賞にサトノダイヤモンド、サトノノブレスと2頭の日本調教馬を送り込みますが、第3の刺客ともいうべき新星が地元フランスから現れました。昨日のサンクルー競馬場2400mのリステッドレース(準重賞)を勝ったアキヒロがその馬です。大オーナーブリーダーとして有名なヴェルテメール兄弟が、自分が所有する牝馬バーマを日本のノーザンファームに送り込んでディープインパクトと配合させ、生まれ落ちた馬でした。バーマの曽祖母ゴールドリヴァーは凱旋門賞馬、ヴェルテメール一族自慢の牝系です。アキヒロはフランスで20年間連続リーディングトレーナーに輝き、凱旋門賞を7度も勝っている稀代の名伯楽アンドレ・ファーブル調教師のもとで英才教育を施され、昨年8月ドーヴィルのデビュー戦をライバルの進路妨害による繰り上がりながら優勝します。2戦目は重賞のG2シェーヌ賞に挑戦し、後方から鋭く伸びて無傷の連勝を飾ります。年明け緒戦のG3ノアイユ賞は追い込みましたが、久々が応えたのかアタマ差だけ届かず2着に惜敗します。強烈な末脚を武器とし、勝っても負けても僅差 なのがアキヒロの個性。ハラハラドキドキさせてくれるスター性満点のキャラクターのようです。

叩き2走目のG2グレフェール賞は、堂々1番人気に支持されますが、次走の仏ダービー3着馬レコレトス、2歳時にG1を勝ち仏ダービーは短頭差2着の実力派ワルドガイストに届かずの3着と勝ち切れないレースが続き、ファーブル師はアキヒロに休養を命じます。昨日のサンクルーは4ヶ月ぶりのレースでした。しかし一夏越して成長を見せたアキヒロは、ヴェルテメール家の主戦騎手マキシム・ギュイヨンを背に、不良馬場をモノともせずクリストフ・スミヨン騎乗の曲者インスティゲーターをアタマ差退けました。着差は僅かなのは彼の個性ですから気になりません。鮮やかな勝ちっぷりでした。不良馬場を克服したというのも大きなアドバンテージですね。これで凱旋門賞のブックメーカーオッズも大穴候補の51倍から伏兵評価の34倍へと上昇しています。

ヴェルテメール兄弟はファッションブランド・シャネルのオーナー家としても有名ですが、競馬事業でもG1通算14勝のヨーロッパ記録を持つ女帝ゴルディコヴァのオーナーブリーダーとして知られ、凱旋門賞もアキヒロの4代母ゴールドリヴァーとオルフェーヴルにゴール前で煮え湯を飲ませたソレミアで勝っています。ゴルディコヴァの娘のテラコヴァも登録していますが、アキヒロの出否を決断するのかしないのか?また巨匠ファーブル師はどんなジャッジを下すのか?レース前からハラハラドキドキが始まっています。

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