きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ペースメーカーという文化

9月13日は、大庭 和弥 騎手、松田 大作 騎手、中村 均 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

先週末のシャンティイ、凱旋門賞本番と同コース同距離で3つの最重要トライアルレースが行われましたが、フォア賞では日の丸の期待を背負ったサトノダイヤモンドがよもやの惨敗、日本ファンには残念な結果に終わりました。競馬はゴールしてみないと分からないものです。その時点では11倍で3番人気タイだったダイヤモンドのブックメーカーオッズは16倍へと急落、5番人気タイというポジションに収まっています。まぁ、競馬は人気が走るわけではなく、馬が走るものですから巻き返しに期待したいものです。

1番人気は1倍台と一本被りの様相を呈している3歳牝馬エネイブルで断然となっています。なにしろ本番と同じ2400mのG1レースばかりを、5馬身、5馬身半、4馬身半、そして5馬身と圧巻の勝利で飾っています。相手関係もありますが、ステイヤーとしては近年の最強牝馬たちと比べても少しもヒケを取らない見事なサラブレッドです。ちょっと負ける姿が想像できないというのが正直な気持ちです。彼女に続く2番人気には同じジョン・ゴスデン厩舎のクラックスマンが6倍でつけています。ヨーロッパにおけるG1制覇が待ち望まれているフランケルの息子で人気の高い馬です。春先は道悪を嫌ってトライアルを回避した影響か、成長途上という感じのまま英愛ダービーシリーズは惜敗続きでしたが、ここへ来て本格化気配を示しています。ただ、ゴスデン師はこの馬が本当に良くなるのは来年と考えているフシもあり、本命馬と同厩舎で主戦もデットーリ騎手で被ることもあってゲートインするかどうかは微妙なようです。晩成の大器ユリシーズ、歴戦の強者ハイランドリールがこれを追って、ダイヤモンドはその次の人気ですね。

フォア賞を見ていて気になったのはペースメーカーの存在でした。今回はダイヤモンドを先導する形でサトノノブレスが逃げたわけですが、ちょっとぎこちなさが目立ちました。そもそも、全馬が勝利を目指して走らなければならない建前の日本のレース規定にペースメーカーという概念は存在せず、文化として定着しているヨーロッパとは大きな隔たりがあります。凱旋門賞を勝つには、こうした文化の問題も克服する必要があるのかもしれません。

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