きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

名馬誕生の揺りかご

7月19日は小笠倫弘調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

近年、ヨーロッパの競馬で特徴的なのは、スプリントレースの充実と目覚ましいレベルの向上です。エポックメーキングとなったのは、一昨年のロイヤルアスコットに3歳馬限定のスプリントG1であるコモンウェルスCが創設されたことでしょうか。それまで3歳のトップクラススプリンターには自らの適性に見合ったレースが存在せず、やむを得ず守備班を超える2000ギニーやロイヤルアスコットであればセントジェームズパレスSなど守備範囲を超えるマイルG1に挑戦するか、古馬に混じってキングススタンドSかダイヤモンドジュビリーSを走るしかないというのが実態でした。

もちろん今年の3歳牝馬レディーオーレリアのように、6ハロンのコモンウェルスCではなく、5ハロンの距離に適性を求めて歴戦の韋駄天自慢が集結するキングススタンドSにチャレンジし、涼しい顔で3馬身も千切ってしまう快速娘が現れたりもするのですが、やはりマイルや中長距離カテゴリーと同じように古馬との対戦はロイヤルアスコットが閉幕した7月にスタートするのが公平だという気持ちはあったはずです。その新設効果は絶大で、最初の年にムハーラーが初代チャンピオンに輝くと、彼はメキメキと成長して古馬を向こうに回してもスプリントG1を勝ちまくり、ヨーロッパ最優秀スプリンターに輝いています。昨年の2代目チャンピオンのクワイエットリフレクションも同様でした。今年のカラヴァッジオは無傷の6連勝でコモンウェルスCチャンピオンを襲名したのですが、先週の古馬混合ジュライCで初黒星を喫してしまいました。この先巻き返してくれることでしょう。

まさにヒーロー&ヒロインの揺りかご、スターホースを続々と輩出しています。これまではスプリント王国のオーストラリアや香港からの遠征馬に苦杯を舐めさせられていたカテゴリーなのですが、一つのG1を頂点にレース体系が再構築されたことをきっかけに、自前のチャンピオンホースを生み出すことに成功しました。もともとスプリントレースはハンデ戦が中心で、20頭を超えるような多頭数のレースも多く馬券人気の高いカテゴリーです。競馬全体の盛り上げに一役も二役も買っているのは確かです。こうした動きは3000mを超えるようなマラソンレースにも見られて、今年から真夏の名物グッドウッドCがG2からG1へ昇格します。このあたりは明日眺めて見たいと思います。

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