きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港春の陣【第一幕】

ようこそいらっしゃいませ。

香港競馬のクライマックスは年2回。馴染み深いのは暮れに行われる香港国際G1デーですが、ゴールデンウィークのお楽しみ・春のG1シリーズも近年なかなかの人気を集めています。暮れはスプリント、マイル、中距離、長距離の各カテゴリーのチャンピオンを1日で一挙に挙行しますが、春はGW最初日曜日に中距離のクイーン・エリザベス2世C、GW締め括りの日曜日がチャンピオンズスプリントプライズとチャンピオンズマイルという番組編成でワクワクの1週間を構成しています。今日から来週まで当コラム海外ニュース欄では4回にわたって「香港春の陣」の見どころをウォッチングしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

今年はジョアン・モレイラ騎手の一人舞台になりそうなムードが高まっています。シンガポール時代は「マジックマン」と恐れられ、香港に本拠を移してからは「雷神」の異名で畏敬される凄腕のジョッキーです。昨年暮れの香港ヴァーズ、変幻自在の位置どりから世界のハイランドリールを日本のサトクラウンで差し切ったのも神技に思えましたが、記憶に新しいのは先月のドバイターフ。直線で馬群のポケットに閉じ込められたヴィブロスを、一瞬の間隙を縫って外に持ち出し、そこからは稲妻の切れ味。まさに雷神の仕業でした。

今回の春の陣では、香港競馬史上初の三冠馬ラッパードラゴンでチャンピオンズマイルに、レベルの高い香港スプリント界に突如現れた超新星ミスタースタニングでスプリントプライズに挑みますが、両馬とも当然1番人気になるでしょうね。シリーズ緒戦のクイーンエリザベス2世Cは日本のネオリアリズムに騎乗します。初コンビになりますが、この馬の底力のしたたかさを一番良く知る男の一人がジョアンです。昨年の札幌記念、ジョアンはマイル路線から距離を延ばしてチャンピオンロードに挑むモーリスに騎乗していました。ネオリアリズムはモーリスと同じ堀宣行厩舎の所属で、馬主同士も親戚筋(?)クリストフ・ルメールの鞭に応えて逃げ戦法に打って出たネオはモーリスのペースメーカー役(?)と誰もが思っていたら、直線に向いても脚色は衰えず、追い込むモーリスに2馬身差をつける完封劇を演じて見せたました。強い馬です。ブックメーカーオッズでは現在断然の1番人気に支持されているようです。詳しい展望は明日お届けすることにします。

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