きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ホースマンの…夢。

5月26日は佐久間寛志騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

東京優駿、日本ダービー――。
今年もまた、すべてのホースマンの憧れであり夢である日本最高峰のレースが、すぐそこまで迫ってきました。
追いかけても届かない、遙かなる想い……。
夢の舞台は数々のドラマを生み、多くの言葉をその歴史に刻み込んできました。

「馬が私を助けてくれる……」
人目も憚らずに号泣したのは、ダイナガリバーで幼少からの夢にたどりついた社台グループの創設者、日本の競馬に、熱く、激しく、新しい風を運んできた、故・吉田善哉さんです。

「日本ダービーに出させてほしい。枠順は大外でいい。他の馬の邪魔は一切しないし、賞金もいらない。この馬の能力を確かめるだけでいい」
切々とその思いを吐き出したのは……持ち込み馬のため、日本ダービーに出走できなかったマルゼンスキーの手綱を取っていた中野渡清一騎手でした。

「借金をしてでもお金を集めて、一番人気にしてやりたい」
パートナーへの信頼と矜持を露わにしたのは、アイネスフウジンで日本ダービーを逃げ切った中野栄治騎手。今ではすっかりおなじみとなった勝者を称えるコールがスタンドから沸き起こったのは、このときがはじめてです。拍手や歓声じゃこの想いは伝えきれないとばかりに、だれかが叫んだ、“ナカノ!”という声がスタンド中に伝播。15万人を超えるファンの声が、男泣きする中野騎手の全身にシャワーのように降り注ぎました。

「1番人気はいらない。1着がほしい」と言ったのは、サニーブライアンで優勝した大西直宏騎手。柴田政人調教師は現役時代、「ダービーを勝つことができたら騎手をやめてもいい」とつぶやき、最多の5勝を挙げている武豊騎手は、かつてインタビューの中でファンに対し、「このレースは競馬場で見てほしい。それがかなわず、テレビで見るという人は、正座して見てほしい。日本ダービーはそれだけのレースです」と語ったことがあります。

競馬の神様に選ばれし栄光の座……今年の発走は、5月28日、午後3時40分です。

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