きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

八大競走

5月19日は高橋裕調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

本日5月19日は、顕彰馬、マルゼンスキー(1974年)、1984年のオークスを制したトウカイローマン(1981年)の誕生日であり、保田隆芳騎手が皐月賞(1968年)に勝ち、八大競走を完全制覇した記念すべき日です。

ーーん!? 八大競走?
20代、30代のオーナーの方にとっては、ちょっと耳慣れない呼称かもしれません。
八大競走とは、戦前に創設された桜花賞、皐月賞、日本ダービー、オークス、菊花賞、天皇賞(春・秋)に、ファン投票で出走馬が選ばれる有馬記念を加えた8つのレースを指す呼称。1984年にグレード制が導入されたことで、この呼称が新聞などで使用されることはなくなりましたが、この8つを完全制覇することが困難であることは、今も昔も変わりません。

保田騎手以外で、この八大競走を制覇したのは、武豊騎手のみ。あとひとつ届かなかったのは、加賀武見さん(皐月賞)、柴田政人さん(オークス)、河内洋さん(天皇賞・秋)、岡部幸雄さん(桜花賞)、安藤勝己さん(皐月賞)の5人。いずれも名ジョッキーと呼ばれた方たちで、現役では、横山典弘騎手(桜花賞)、蛯名正義騎手(日本ダービー)があとひとつに迫っています。
調教師でこれを達成したのは、尾形藤吉さんと武田文吾さんの2人。オーナーでは、サンデーレーシングが唯一無二で、個人名義と法人名義を併せ、事実上制覇している吉田照哉氏と金子真人氏を併せても、わずか3人だけ。生産者も社台ファーム、ノーザンファームだけが達成した夢のような勲章です。

とはいえーー。
ーー8つもいらない。ひとつだけでいい。
きっとこれが、多くのホースマンの心の声でしょう。
今週は、この八大競走のひとつ、優駿牝馬、オークスが行われます。
先人たちが築き上げてきた歴史とロマンあふれるこのレースで、スポットライトを浴びるのは、選ばれし一頭、選ばれしオーナーのみです。
誰の頭上にその栄冠は輝くのか……歓喜と溜息の瞬間はすぐそこまで迫っています。

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