きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ドバイワールドCが賞金増額

4月5日は渡邊薫彦調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

「私たちはナンバーワンでありたい。私たちは常に、ライバルに先んじていなければならない」とモハメド殿下は語り、18年からのドバイワールドCの賞金増額を視野に入れていることを表明したそうです。ドバイワールドCは、1984年に賞金総額300万ドルで当時の世界一の座にあったBCクラシックを上回る総額400万ドルで創設されています。96年秋にBCクラシックが400万ドルに増額され3年間は世界一の座を分け合いましたが、99年に500万ドルとし単独世界一の座を奪回し、2000年には600万ドル、メイダンに移った10年には1000万ドルとダントツの世界一を独占してきました。ところが今年新設されたペガサスワールドCが1200万ドルと破格の設定したのを受けて、これを超える賞金額に変更することになるのでしょう。

しかし競馬は賞金がすべてではないのは無論です。「金では買えない」伝統の重みとか品格の高さなどが人々の心にオモシとなって棲み着いているからです。エリザベス女王自らがご臨席なさるなど格の高さで有名なロイヤルアスコットの最高賞金レースは、日本のスピルバーグも出走したことがあるプリンスオブウェールズSの73万7775ポンド≒1億153万円です。ドバイワールドCとは比べるべくもなく、今年新設された同距離のG1大阪杯の総賞金2億2800万円の半分以下というのが現状です。しかしこれをもってロイヤルアスコットの威光に影が射すかと言えば、そんなことを言い立てる人は世界中に一人もいません。

賞金が高いのは歓迎すべきことでしょうが、そればかりが話題になるのも寂しい気がします。幸いに今年はアロゲートという世紀のスーパースターが出現し、賞金だけではない競馬の面白さを堪能させてくれましたが、もし彼の存在がなかったらと思うとゾッとさせられます。日本の競馬界も地方を含めて売上げが好調で、今月から新年度をスタートさせた地方競馬の中には賞金アップに踏み切るところも見られます。もともとが低過ぎたのでご同慶の至りなのですが、世間の感覚とズレないよう気配りしつつ、レースの品格を高めていくことが一層重要になってきます。

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