きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港ダービー【後】

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今週日曜に行われる香港ダービーでファンが楽しみにしているのは、昨日ご紹介したラッパードラゴンの史上初の4歳シリーズ3戦完全制覇なのは間違いないのですが、もう一つのワクワクドキドキにも期待が集まっています。パキスタンスターというジャイアンツコーズウェイからストームキャットに遡るシャマーダル産駒でドイツ生まれの4歳セン馬がその馬です。ラッパードラゴンのように堅実さはミジンもありませんが、豪快無双で破天荒なレースぶりがファンの胸をときめかせています。デビュー戦では大きく出遅れ、4コーナーに差しかかってもまだ離された最後方、どれだけ負けるんだと思っていたら、ようやくエンジンに点火、アッという間に差を詰め遂に差し切ってしまいましたから、びっくり仰天です。

最近では根岸Sのカフジテイクが信じられない追い込み劇を見せてくれましたが、日本のファンの多くは同じ根岸Sのブロードアピールを思い出したかもしれません。シルクロードSなど芝の重賞勝ちもある馬ですが、ダートで見せる疾風怒濤の
末脚は天下一品でした。そのレースはユーチューブで今も競馬関連ではトップクラスの再生回数を誇っています。彼女に著作権があれば賞金を上回る大金持ちになっていたことでしょう。余談はさておき、そのパキスタンスター、一時は伸び悩みましたが、前走クラシックCでは本来のドンジリ強襲作戦に戻して、ラッパードラゴンに1馬身半まで迫り2着に突っ込んでいます。距離が延びる今度は届くかも?とシャティン雀の期待は高まるばかりのようです。

香港ダービーで注目したいのは、日本馬も参戦する春のクライマックス、G1クイーンエリザベス2世Cの重要ステップレースである点です。同コース同距離という近似性もあって香港ダービー馬が活躍します。昨年はダービー馬ウェルテルの前に、日本のG1馬トリオのラブリーデイは4着、ヌーヴォレコルトは6着、サトノクラウンに至っては12着に大敗しています。3年前にもデザインズオンロームが日本のエース格エピファネイアを4着に切り捨て、アンコイルドはシンガリ負けでした。香港ダービーは出走資格が香港調教馬に限られているため、グレード格付けのないリステッドレースの扱いですが、なかなかにレベルが高いようです。今年も未来の香港競馬を背負って立つスター候補が潜んでいるに違いありません。

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