きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

コンドルは飛んでいく。

ようこそ、いらっしゃいませ。

――とにかく無事で。元気に走って、何事も無く帰ってきてくれれば。
それが、すべての馬主さんの願いです。しかしその一方で、夢はどこまでも広がっていきます。いずれは、会の誇りである有馬記念に――当協会の会員のみなさまであれば、そんな遙かなる想いを抱いていらっしゃるのではないでしょうか。

1995年3月17日。22年前の今日、アメリカケンタッキー州のレーンズエンドファーム・オークツリー分場で、一頭の馬が誕生しました。欧州の大種牡馬、サドラーズウェルズの血を引くサドラーズギャルとキングマンボの交配で生まれた一頭の牡馬……後のエルコンドルパサーです。
阪神・淡路大震災の2ヶ月後。希望の欠片を抱いて誕生した彼は、デビューから無傷の5連勝でNHKマイルカップを制覇、一躍スターダムにのし上がりました。6戦目、毎日王冠ではサイレンススズカの走りに屈したものの、続く7戦目、ジャパンカップでは、ダービー馬スペシャルウィーク、女傑エアグルーヴ、前年のブリーダーズカップを制したチーフベアハートを相手に優勝。オーナーの悲願でもあった海外挑戦のキップを自らの手でつかみ取りました。

1999年5月23日 : フランス イスバーン賞(GI)2着
7月4日 : フランス サンクルー大賞(GI)1着
9月12日 : フランス フォア賞(GII)1着
10月3日 : フランス 凱旋門賞(GI)2着

ラストランとなった凱旋門賞でみせたモンジューとの死闘は、いまも凱旋門賞史上残る名勝負として、世界中の競馬ファンに語り継がれています。

日本ダービーの前身、第1回東京優駿大競走を制したワカタカ。天皇賞(春)、宝塚記念を制したエリモジョージ。菊花賞馬ノースガスト。エリザベス女王杯を勝ったキョウエイタップ。桜花賞馬のファイトガリバー。NHKマイルカップで優勝したロジック。そしてエルコンドルパサー……すべて今日、3月17日が誕生日です。
しかし――。
歴史に名を刻むのはわずか一握りの馬だけ。その後ろには、夢破れた数多くの馬たちがいることを忘れることは出来ません。だからこそ、この日に生を受けたすべての馬たちへ。
誕生日おめでとうございます!!!!!!

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