きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

最後の兄弟対決

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今週より2回中山、1回阪神が開幕し、春競馬の到来とともにG1戦線へ向けて競馬が盛り上がっていく季節となりました。中山競馬場では、正門をくぐった先にある河津桜が来場者をお出迎え。見ごろを迎えた華麗な桜花が中山開催を彩ります。

と同時に別れの季節花でもある桜は、引退する武幸四郎騎手、田中博康騎手の2人のジョッキーを見送ります。
武幸四郎騎手といえば、1997年にデビュー。デビュー2日目のマイラーズカップで11番人気のオースミタイクーンを勝利に導き、初勝利がG2勝利で周囲を驚かせました。この日、中山競馬では弥生賞で兄・武豊騎手がランニングゲイルで弥生賞を勝利し、兄弟揃っての重賞勝利でまさに衝撃的な1日だったことを記憶しています。

武幸四郎騎手のG1初勝利は2000年の秋華賞でした。10番人気とクラシック戦線では無名だったティコティコタックで激走し、ティコティコタックへの見方を変えることとなったレースを演出しました。ウインクリューガー(NHKマイルカップ:9番人気)、ソングオブウインド(菊花賞:8番人気)、メイショウマンボ(オークス:9番人気、秋華賞:3番人気、エリザベス女王杯:2番人気)と、人気の陰に隠れた実力馬を大舞台で輝かせる名手でもありました。

調教師となり馬の能力を開花させてほしいと期待しつつも、まだ最後にひと仕事。今週末、阪神競馬場での土日の騎乗が残っています。アーリントンカップに阪急杯と、土日両重賞レースに騎乗。他の条件戦も含め、この週末が兄との最後の兄弟対決です。周囲を驚かせた初勝利やG1勝利のように、最後の最後でもうひとつ、あっと言わせるレースを魅せてください。

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