きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

鬼が笑う話

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世界の話題を独り占めにしたペガサスワールドCの勝者アロゲートの強さは破格でしたが、1着賞金が世界最高の700万ドル≒8億円というのも格別のインパクトがありました。日本で言えば、最高賞金のジャパンCと有馬記念を連勝しても6億円ですから、まだ全然足りません。この飛び抜けて高額な賞金は、競馬サークルに様々な波紋を広げています。北米のリーディングサイアーランキングでは、父のアンブライドルズソングが一挙に断トツのトップに躍り出て後続に大きく水を開けました。今年の競馬が始まったばかりのこの時期にリーディングの話をしたら鬼が笑うどころじゃないんですが、アロゲートが健在である限りは不動の種牡馬王タピットも安閑とはしていられません。

アロゲートはこの後、3月下旬のドバイワールドCを標的に調整が進められるのでしょうが、こちらのレースもご存じのように世界2位の600万ドル≒6億8000万円と超のつく高額です。さらに彼が連覇を狙ってラストランに選ぶだろう秋のBCクラシックは1着330万ドル≒3億7000万円とこれも高額です。ペガサスワールドCを含めた3レースの合計は、実に1630万ドル≒19億円を超える巨額に達します。他にもいくつかレースを使うでしょうから、仮に全部に勝つとしたらアロゲート1頭でアンブライドルズソングのリーディングサイアーは決まりですね。

ところが3年連続でチャンピオンサイアーの座を揺るぎのないものにしているタピットは、リーディングサイアーのハードルを年々上げています。タピット以前はおおむね1000万ドル前後が当確ラインだったのですが、昨年は1900万ドル超の賞金を産駒たちが稼いでいます。種付け料30万ドルの破格値でも牝馬たちが門前市を成すはずです。ハイレベルなチャンピオン争いが展開されそうです。アンブライドルズソングは既に亡くなっていて、今年の3歳馬がラストクロップになります。果たしてアロゲートを援護射撃するような新星が現れるのか?このあたりも楽しみの一つです。

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