きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

事実上のマッチレース

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優勝すれば700万ドルとドバイワールドCの600万ドルを凌駕する世界最高の賞金が賭けられたG1ペガサスワールドCの枠順が決まりました。12頭フルゲートで出走回避に備えて繰り上がりの補欠馬まで手配されています。しかし最内一番に入ったアロゲート、最外12番のカリフォルニアクロームを除けば、既に勝負付けの済んだ馬やG1レースでは掲示板が精一杯といった近況の馬たちが大半です。中には久しく勝利を味わっていない9歳馬の顔も見えます。別に彼らを排除しようという意図はないのですが、そもそも100万ドルの出走料を支払ってまで出てくるのは摩訶不思議に感じられます。部外者には良く分かりません。

これなら、いっそマッチレースでやった方がスッキリするのに、そんな意見も依然として根強いようです。レース中に骨折して安楽死処分という悲劇を生んだラフィアンとフーリッシュプレジャーの歴史的対決以来、アメリカではファンの人道的気分が強くマッチレースそのものは開催されておらず、ここで再びマッチレースというのもファンが承知しないでしょうから無理ですが、12頭の出走メンバーを見渡せばマッチレース論者の主張も良く分かります。

でもカルフォルニアクロームやアロゲートを見ている限り、アメリカ競馬の裾野の広さや奥の深さが実感できます。そもそもカナダを含めた北米の生産頭数は日本の5倍以上にも上るのですから、単純に言って強い馬が出て来る確率は5倍以上ということになります。その中には常識を超えるような破天荒な強さを発揮する馬が潜んでいる可能性は十分以上にありそうです。ペガサスワールドCに批判が多いことや功罪相半ばする部分があったとしても、BCクラシックの再戦を観る価値も十分以上にありそうです。

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