きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

価値ビジネスとマネーゲーム (2)

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1着700万ドル≒7億9000万円とドバイワールドCの600万ドルを超える世界一の賞金が準備されたペガサスワールドCの話題をお届けしています。出走権料100万ドルとか、テレビ放映のメディア権料、馬券売上の利益なども出走馬に等分されるなどスケールが大きすぎて、庶民にはリアリティを感じられないお話です。さすが壮大なアメリカンドリームを国是とするお国柄だけに、考えることもケタ違いなら、それを実際にやってしまう勇気と不屈の実行力には感心するばかりです。日本とは国民性が違うと思うしかありません。ギャンブルに例えれば、カジノとパチンコくらいの大きな隔たりがありそうです。

さて肝心の出走馬の方は、カリフォルニアクロームが意欲満々で昨夏突如現われた怪物アロゲートとの一騎打ちの様相です。カリフォルニアクロームは3歳時に二冠を制し、その後は紆余曲折がありましたがドバイワールドCを勝って世界のダートチャンピオンホースに君臨しています。アロゲートはG1どころかG戦そのものに出走歴のなかった無名馬でしたが、真夏のダービーの愛称で親しまれるサラトガのG1トラヴァーズSに姿を現わすや、今春から日本で種牡馬生活を始めるベルモントS馬クリエイター、ケンタッキーダービー2着で続くプリークネスSを勝ったエグザジェレーターなどクラシック馬を向こうに回して、2着馬に13馬身半の劇的大差で表舞台に飛び出してきました。フロックでは出来ない芸当ですが、次走のアメリカ競馬の頂点を争うBCクラシックでは、3着馬を10馬身以上も捨ててカリフォルニアクロームと叩き合い、ゴール前は力づくにネジ伏せました。この怪物は本物です。

カリフォルニアクロームは既に4万5000ドル≒508万円の種付け料で種牡馬入りが決まっており、ここが引退の花道になる可能性が高いのですが、宿敵アロゲートがここを叩いてドバイワールドCに向かうようで、レースの結果次第では再戦という目もありそうです。奇想天外な発想をする陣営でもあり、以前にキンシャサノキセキが3月末のG1高松宮記念を制覇した直後に急遽スタッドインして、それなりに成功を収めた例もあります。カリフォルニアクロームのドバイワールドC緊急参戦というドラマがないとは言えません。日本からアウォーディー、ラニ兄弟が参戦の意思を表明していますが、この両雄はいかにも強すぎます。でも強い相手と戦うことに世界挑戦の意味があるのですから、臆せず堂々とゲートインしてほしいものです。

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