きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

有馬記念から世界を見れば

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有馬記念の出走馬の中に、いささか地味なのですがマルターズアポジーの名前が見えます。中山時代の朝日杯3歳Sを逃げ切ったゴスホークケンの唯一の重賞ホースです。ゴスホークケンは日本より先にアメリカで馬主になった藤田與志男さんが発掘してきた馬で、その父バーンスタインは大種牡馬ストームキャット産駒で、アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎で調教され、種牡馬入りしてからはアルゼンチンにシャトルされ当地のリーディングサイヤーにも輝いています。フランスで調教されたカラコンティは日本の白老のファームの生産馬で母父サンデーサイレンスという血統です。仏2000ギニー勝ちのクラシック馬で一昨年のBCマイルで大穴を空けたのは記憶に新しいところです。カラコンティに続いて昨年のBCマイルを制した女王にテピンもバーンスタインの忘れ形見。藤田さんの慧眼たるや恐るべしです。

藤田さんがお亡くなりになった後は、在子夫人が遺志を継いでオーナーブーリーダーを続けてきました。マルターズアポジーの母マルターズヒートも藤田さんがアメリカで発掘してきたA.P.インディ系の牝馬でフェアリーSを勝つなど4勝を上げた活躍馬でした。アポジーは1000万下から3連勝で福島記念を勝って、やっと有馬記念に間に合った裏街道感はありますが、藤田さん夫妻の思いがこもった一番になります。9年前の朝日杯の父ゴスホークケンを彷彿させる大逃げを見せてくれるのでしょうか?楽しみでなりません。

朝日杯繋がりで言えば、21世紀最初のこのレースを勝ったのがアドマイヤドンでした。後のダートの帝王の印象が強くて意外感もありますが、堂々の1番人気で貫禄の勝利でした。そのドンの仔が2頭も有馬に歩を進めてきました。アドマイヤデウスとアルバートがその馬です。ちょっと楽しみなところもありそうです。父ドンは名牝ベガの息子で人気のあった馬でした。現在は韓国に輸出されて、済州島の牧場で種牡馬として活躍しています。朗報を届けられると良いですね。

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