きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ケンタッキーダービーへの道

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土曜東京の2歳500万下ダート1600mのカトレア賞は、ジャパン・ロードオブザケンタッキーダービーの第1戦に指定されています。このレースには、ケンタッキーダービー優先出走権ポイントが1着40、以下4着まで16・8・4ポイントが与えられ、と来年2月のフェブラリーS当日に組まれているOPヒヤシンスSの1着から50・20・10・5ポイントの総合で1位の馬が海を渡りチャーチルダウンズの晴れ舞台に臨むことができます。ご存じのように近年のケンタッキーダービー出走権は賞金ではなく前哨戦に設定されたポイント数で争われる仕組みで、後半にいくほどポイント数が高くなります。早い時期に賞金加算した早熟馬ばかりのレースになってしまうリスクを避けるために発明された制度ですが、2歳チャンピオン決定戦のG1BCジュベナイル優勝馬でも20ポイントですから、この時期の条件戦に40ポイントというのは破格の大盤振る舞いです。

ご記憶の方も多いでしょうが、カトレア賞、ヒヤシンスSのローテーションは昨年のラニが歩んだ道です。ラニはその後、ドバイに渡りUAEダービーで権利を獲得したのですが、過酷この上もないことで知られるアメリカ三冠レースに皆勤し、ダービーこそ9着でしたが、プリークネスS5着、ベルモントSでは3着と尻上がりの好成績を収め、日本調教馬の実力とタフネスさを証明して見せました。今回の新制度は、ある意味で『ラニ記念』とでも言えそうなアイデアになりました。全米でも三冠皆勤賞はラニを含めてたった2頭でした。松永幹夫調教師やスタッフの皆さん、武豊騎手、馬主のノースヒルズ関係者には頭の下がる思いです。

これでJRAも天下晴れて、ダービーの中のダービーであるケンタッキーダービーの馬券発売が可能になるでしょうし、ファンも大喜びで万々歳ということになりそうです。ただ先述したように日本馬に対するハードルが奇妙に低過ぎるのは気がかりです。競馬は参加することに意義があるわけじゃありませんから、本番でも勝ち負けになるような成長力に富んだ馬が、カトレア賞、ヒヤシンスSから現れてくれることを願うばかりです。

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