きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今年のオークスは、単勝1.3倍の支持を集めて大本命でレースを迎えたハープスターがクビ差2着に敗れる結果でした。勝ったのはハーツクライ産駒のヌーヴォレコルトでした。前走の桜花賞、前々走のチューリップ賞とハープスター相手に2戦して2敗と敗れています。しかし奇をてらって逆転を狙ったわけではなく、馬群中団でレースを進め、直線で馬場内側から抜け出す正攻法での金星でした。

対するハープスターというと、馬の力を信じきってのレースだったのでしょうが、後方から4番手でレースを進めて最終コーナーで外から進出し、ただ1頭まるで別なレールの上を走っているかのような大外の位置から追い込みを狙ったレース内容でした。全18頭中、上がり33秒台の末脚を披露したのはハープスターだけでしたが、晴天が続く東京の馬場で、前が止まりにくい馬場状態を考えると、いくらハープスターでもあの位置からの追い込みはかなり厳しかったようにも思います。

と同時に、やはりレースは、前の好位置にポジションを取り、馬場の良い内側でロスなく進めれば進められるほど勝利の女神も微笑みやすくなることを改め思わされました。ブエナビスタもジェンティルドンナも、後方から追い込んでオークスを勝ったとはいえ、直線でのレースポジションは今回のハープスターとはまったく異なります。

オークスの敗戦で、秋まで順調と思われていた凱旋門賞へのプランに、異なるドラマが生まれてきました。ハープスターのロンシャンへの夢はどうなるのでしょうか。怪物の末脚にも敗因を招く弱点をつきつけられました。今回の敗戦は残念でしたが、ひと夏を越し克服すべき課題を乗り越えた姿を、ぜひ次なる舞台で見せてください。

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