きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ハーツクライ無双

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中にはメルボルンCで異郷の地に客死したアドマイヤラクティの悲劇もありましたが、ハーツクライの自身と産駒を含めた海外G1実績は3-1-2-5と馬券内率は5割を超える素晴らしい結果を残しています。自身はドバイシーマクラシックを圧勝し、前走の有馬記念で国内無敗のディープインパクトに土を着けたのがフロックではないことを証明しました。

その足で挑んだキングジョージでは、当時ヨーロッパの最強馬と言って良い凱旋門賞馬ハリケーンラン、ドバイワールドC馬エレクトロキューショニストを向こうに回し直線は火の出るような叩き合い、位置取りの違いでスミヨンのハリケーンが半馬身抜け、デットーリのエレクトロから半馬身遅れてルメールのハーツが続くという結果でした。実力確かな名馬たちが百戦錬磨の名手連を鞍上に演じた名勝負でした。日本のホースマンが、自分たちが産み育てたサラブレッドが海外でも互角に戦えるまでに成長したことを確信できた歴史的瞬間だったと思います。

ハーツクライには成長力の三文字が冠詞のように付きますが、それというのも心肺能力に恵まれ丈夫で健康な身体を授かっているからでしょう。何より人間とのコミュニケーションを理解する賢さが備わっており、環境の変化にも動じない精神的逞しさを生んでいます。海外遠征に強い背景だろうと思います。ジャスタウェイはドバイデューティーフリー(現ドバイターフ)で圧巻のレコード勝ち、レーティング130ポンドとその年の世界一に輝きました。ヌーヴォレコルトも昨年の香港Cで逃げるエイシンヒカリを追い込んで銀メダルを獲得しています。牝馬ながら天晴れな馬です。今回は3度目の海外遠征、したたかに三度目の正直を実現してくれないものでしょうか。

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