きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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強いんだけれども、どこか足りない愛すべきキャラクター、セントニコラスアビーが昨季は素晴らしいスタートを切りました。ドバイシーマクラシックでジェンティルドンナに貫禄勝ち、ジェンティルが追いかけても追いかけても差が詰まりません。地力の違いを思い知らされた形のメイダンのゴール前でした。

次走は大好きなエプソムで3度目のコロネーションCを圧勝、今季はどこまでやるんだと思わせた瞬間でした。これならキングジョージも凱旋門賞も夢ではない、アビーファンの誰もが彼の覚醒を確信したその時、調教中の骨折という悲劇が彼に襲いかかってきました。名門オブライエン厩舎を挙げての懸命な治療も甲斐なく、アビーは蹄葉炎を併発して半年後に不帰の旅に。

アビーの闘病の模様は現地マスコミにも度々取り上げられ、このアイドルホースの人気の高さが伺えました。今年のコロネーションCはこうした無数の競馬ファンの思いが詰まったセントニコラスアビー記念として行われます。主催者の粋なはからいを感じさせる施策だと思いました。イギリスの競馬ファンたちは毎年ダービーデーが来ると誰とはなしにアビーの思い出を語り継ぐんでしょうね。どうぞ安らかに眠ってください。

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