きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

年度代表馬の行方

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華やかな凱旋門賞ウィークエンドも終わり、欧州競馬は来週末に行われるブリテッシュチャンピオンズデーのカテゴリー毎の最終G1決戦を残すばかりとなりました。この季節になると競馬ファンの関心は、今年1年の競馬を盛り上げてくれた年度代表馬の選出にも集まります。ヨーロッパの年度代表馬は高級時計のカルティエ社がスポンサーとなり1991年に創設されています。重賞競走のポイントを基礎に競馬記者による専門家の目、レーシングポストなど大手競馬メディアの読者投票を通じたファンの目により選出される仕組みです。日本で言えば、ポイント制のサマーシリーズ、記者投票による年度代表馬、有馬記念や宝塚記念のファン投票の全部を組み合わせたようなシステムです。

ところが今年は、決定打と言うには今一歩の馬が多く、年度代表馬はこれで決まりとまでは行かない現状です。G1最高勝利数は3歳牝馬マインディングの4勝ですが、1000ギニー、オークスなどすべてが牝馬限定レースでインパクトに欠けるのは否めません。ポストポンドがドバイシーマクラシック、インターナショナルSなど3勝を上げていますが、凱旋門賞5着は大きなイメージダウンです。その凱旋門賞を完勝したファウンドとて、昨季まで2着4回、今季は5回連続と銀メダルコレクターぶりが際立つ馬で、ヨーロッパの頂点にはもう一完歩の印象もあります。そんな状況もあって、今年の英チャンピオンSは久しぶりにエキサイティングな盛り上がりを見せそうです。近年は雨に祟られることが多く、有力馬がゴッソリ回避してブランド力を低下させていましたが、今年はポストポンド以外の年度代表馬候補たちが揃って出走に前向きです。

今季一番のハイレベルと評価されている愛チャンピオンSの勝ち馬アルマンゾロは凱旋門賞を自重して適距離のここ一本に絞ったローテーションで勝利へ万全を期しています。ファウンドもタフを絵に描いたような馬で、凱旋門賞から中1週でここ、さらに中1週でアメリカ遠征してBCターフ連覇を目指すというから驚きです。マインディングは前走の愛チャンピオンSで前が塞がったような場面もあり、追い込み遅れて3着でしたが、力のあるところを見せました。ファウンドともどもライアン・ムーア騎手のお手馬で、さてライアン、どちらの手綱を選ぶのか?キングジョージを逃げ切り凱旋門賞で2着に突っ込んだハイランドリールも虎視眈々、オブライエン厩舎のガリレオ新三銃士は健在です。イギリスとアイルランドの両ダービーを制覇したアガ・カーン殿下のハーザンドは順調さを欠き尻つぼみの近況ですが、もうチャンスがゼロというわけでもありません。いずれにしろ、ここを勝った馬が年度代表馬の栄誉をたぐり寄せることになるでしょうから、10月15日のアスコットから目が離せませんね。

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