きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ガリレオ祭

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先週末のヨーロッパは、アイルランドで今季総決算のチャンピオンズデー、イギリスはクラシック最終戦セントレジャー、フランスが日本のマカヒキも登場する凱旋門賞トライアルデーとGレース目白押しの豪華絢爛さで競馬の醍醐味を満喫させてくれました。そんなお祭りムードの中で注目されたのはガリレオ産駒の動向です。というのもガリレオは今季ここまで、パート1国を主舞台にした世界のG1戦線で2位のディープインパクトなどの6勝に大差をつける14勝と独走を続けており、自己最多の年間19勝を射程内に収める勢いを見せていたからです。優良ガリレオ産駒の宝庫である名門エイダン・オブライエン厩舎がチャンピオンズデーを中心に精鋭をラインナップしていました。こうした記録の類は周囲がヤキモキするほど当事者は気にしないのかもしれませんが、オブライエン師の本気度が伝わるには十分過ぎる布陣でした。

しかし競馬はゴールするまでは分からないものです。ともに1倍台前半の圧倒的人気に支持された14ハロンの長距離2レース、英セントレジャーのアイダホは事もあろうに落馬中止の憂き目に遭い、愛セントレジャーのオーダーオブセントジョージは4頭立ての少頭数にもかかわらず、長距離の逃げ馬恐るべし!を絵に描いたような展開になって人気薄の逃げ切りを許して2着に敗れます。外野席から見れば、かなりの確率で金字塔達成への計算ができるはずだった2勝がフイになり、陣営にとって少なからずショックだろうとも推測されます。

しかしこれで根を上げたりしないのが、ガリレオの凄いところ。2歳G1ナショナルSでチャーチルという馬が圧勝すると、牝馬のマイルG1メイトロンSは3歳アリススプリングスは今季2勝目となるG1をゲットして通算16勝と記録を伸ばします。2歳戦でも早い時期から走り、3歳のクラシックシーズンに大きな成長を見せ、ここで引退する馬も多いのですが、現役を続行する馬は古馬になっても力通りに堅実に走る、ガリレオという種牡馬は本当に馬主孝行です。マイルと2000m級のチャンピオン路線を得意とし、2400m級のビッグレースにも強みを発揮します。父系はフランケルに代表されるように後継の裾野を大きく広げようとしており、ガリレオ系の巨大山脈がクッキリとその姿を現し始めています。今回の2歳牝馬G1モイグレアスタッドSを勝ったイントリケイトリーは母父ガリレオの血統で母系に入っても確実にその底力を伝えています。現代血統の構図は、ガリレオ系とそれ以外の2種類しかない、そんな状況が現実味を帯びてきています。

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