きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

武邦彦氏死去

ようこそいらっしゃいませ。

元JRA騎手、調教師の武邦彦さんが滋賀県県の済生会滋賀県病院で病気のため亡くなられました。武邦彦さんは皆さんご存知のとおり武豊騎手、武幸四郎騎手の父でもあります。
京都府出身で1957年に騎手デビュー。1984年に現役を引退するまで第一線で活躍し、ターフの魔術師の異名も取りました。繊細なアクションで前の馬を射程圏に入れ抜け出してくる様から、詩人の寺山修司さんは「子供時代に見た『手品使い』の男を思い出す」と武邦彦さんを表現。桜花賞を制覇した際は、同じく詩人の志摩直人から「今の彼なら絹糸一本で馬を御せる」と評されるほど、しなやかなフォームで多くのファンを魅了しました。

武邦彦さんは現役時代、騎手としての才能開花までには時間を要した騎手でした。アチーブスターで桜花賞を勝利して八大競走を初優勝したのは、デビュー16年目。同じ年の7月にはロングエースで東京優駿を勝ち、タケクニ時代がようやく幕を開けました。以後、勝利をかさねて関西所属騎手として初の通算1000勝を達成。タケホープ、キタノカチドキ、トウショウボーイなどの名馬にまたがり八大競走・グランプリ競走での優勝へと導いています。

現役は46歳で引退。調教師へと転身し、バンブーメモリーやメジロベイリーなどのG1馬を手がけました。
武邦彦さんは77歳でした。心よりご冥福をお祈りします。

×