きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

最強馬の故郷

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ときに芝1000mの短距離戦をぶっちぎって勝ち、朝日杯3歳ステークス(現朝日杯フューチュリティステークス)を7馬身差をつけて圧勝。舞台を変えてダート1700mをレコードタイムで大差勝ち。クラシックこそ皐月賞2着、ダービー2着と無冠ながらも古馬になってさらに怪物ぶりは増し、ダート2100mに斤量60キロ背負わされたダート1700mと連続でレコードタイム勝ち。かと思えば芝・京都記念に62キロの斤量で出走。次走は芝マイルで日本レコードで2着以下を9馬身ぶっちぎり、距離2倍の天皇賞(春)へと挑み圧倒的な強さで制覇。秋も芝にダートに3連勝で獲得賞金史上初の1億円ホースとなり、アメリカに遠征。1960年代後半に活躍したタケシバオーはそんな戦歴を持つ馬でした。

タケシバオーは当時小さな個人牧場で生産され、購入者はなく、血統も一流ではなかったことからデビュー前も期待の少ない馬だったといいます。しかし芝にダートに短距離に長距離に、どんな舞台おいてもぶっちぎって勝ち自らの強さを証明し、無差別級チャンピオン、これぞ最強馬といった戦歴を残して引退します。引退後は故郷の競優牧場へ帰り種牡馬入り。2004年にはJRA顕彰馬にも選出されました。

そのタケシバオーの故郷・競優牧場に悲しいニュースが流れました。今年4月に破産手続きの開始決定を受けて手続き中でもありました。競走馬は現役時代の活躍もさることながら、いかにその血を成長させ広げていくかもレースを制覇するのと同じように大事であることを改めて思います。最強馬の故郷の灯火がこういう形で失われていき残念でなりません。

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