きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ディープVSガリレオ一騎打ち

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早いもので北半球の競馬は、もう折り返し地点を迎えています。血統的な面から上半期を振り返ってみると、やはり新種牡馬フランケルの衝撃的なデビューに尽きるでしょうか。まだ5頭しか競馬場に姿を現していませんが、既に4頭がデビュー戦を飾り、前途洋々の船出となりました。視点を2歳戦から全体に移してみると、パート1国を中心とした世界のG1戦線は、ガリレオとディープインパクトが6勝ずつをマークして、首位の座を激しく争っています。昨年スタートダッシュを決めてガリレオの王座を脅かしたドバウィは、主砲ポストポンドのドバイシーマクラシックとコロネーションSの2勝だけ、ダーレー=ゴドルフィンのエース種牡馬だけに昨年のようにドバイカーニバルでG1勝ちを量産できないと、リーディング争いも苦労します。

ガリレオ産駒の安定した活躍ぶりは相変わらずで、今年は牝馬のマインディングが1000ギニーとオークスの英二冠に続いて、先日は古馬との初対決となったプリティポリーSも制して稼ぎ頭になっています。他にも仏2000ギニーのザグルカ、アスコットゴールドCのオーダーオブセントジョージと当然と言えば当然なのですが、クールモア=オブライエン軍団が気を吐いています。ディープインパクトは内容が素晴らしいですね。6勝を6頭で挙げている手駒の豊富さもそうですが、ホーム日本はもとよりフランス・イスパーン賞のエイシンヒカリ、ドバイターフのリアルスティールなど世界を股にかける爆走ぶりにはホトホト感心するばかりです。

西洋のガリレオ、東洋のディープインパクトを勝ち星で追うのは、シーズンインの早い南半球勢です。サドラーズウェルズのガリレオに並ぶ代表産駒モンジュー系のタビストックが香港クイーンエリザベス2世Cで日本勢を蹴散らした新星ウェルテルを出し、サドラーズウェルズの全弟フェアリーキング系のエンコスタデラゴが快速スプリンターのシャトークァを輩出してともに5勝で両巨頭を追いかけています。ただ南半球はこれから新シーズンに入るのでG1開催機会という面では、これから本番を迎える北半球勢に比べて少し不利かもしれません。

それにしてもサドラーズウェルズ族の勢いは衰えませんね。アメリカでもエルプラード経由のメダグリアドーロやキトゥンズジョイが目覚ましい活躍ぶりで、世界中でこの系統不毛の地というのは、良く言われてきたのですが、本当に日本だけという印象がますます強まっています。日本はディープインパクトを盟主と仰ぐ偉大なる異系サンデーサイレンス系の宝庫であり、それはそれで素晴らしいのですが、サドラーズウェルズ系を中心とした世界標準との親和性、融和性を高めていく努力が不可欠なものになりそうです。競馬というブラッドスポーツにはゴールはないのかもしれません。

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