きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

胡蝶蘭よ、永遠に

ようこそいらっしゃいませ。

G1・3勝、1998年に牝馬クラシック二冠の名牝ファレノプシスがくも膜下出血のため7月1日に亡くなったことが報じられました。21歳でした。ファレノプシスは父ブライアンズタイム、母キャットクイル、母父Storm Catの血統で1997年にデビュー。2着以下の牡馬を9馬身以上離す圧勝劇で初戦を飾り、連勝でクラシック戦線の主役に踊り出た馬でした。チューリップ賞こそ出遅れに前が壁になるなどで連勝こそ止まるも、桜花賞は当時の阪神レースレコードでの完勝でした。母父こそ違えど、最強馬ナリタブライアンと同じブライアンズタイムの血に母母Pacific Princessの系譜から誕生したファレノプシスに、ナリタブライアンと同じ魂を投影され早くから期待を集めました。

そのファレノプシスですが、オークスこそエリモエクセル、エアデジャヴーとの末脚勝負に敗れたものの、秋はきっちりと借りを返して牝馬クラシック二冠達成。最優秀4歳牝馬に選ばれ、古馬路線での活躍にも注目が集まりました。されど翌年からの成績は札幌記念でセイウンスカイの2着こそあったものの、闘志が失われたかのようにパッとせず大敗が続きます。ファレノプシスの不調をよそに、牝馬路線にはトゥザヴィクトリー、フサイチエアデール、シルクプリマドンナらが台頭。ファレノプシスはエリザベス女王杯での引退を決意し、レースに挑みます。最後に咲かせた胡蝶蘭の華は実に鮮やかでした。秋華賞以来2年ぶりの勝利で、ファレノプシスは最後の引退レースを飾ったのです。

繁殖牝馬で優秀な仔を送り出すまでにはいたりませんでしたが、ファレノプシスの引退から干支をぐるりと一周し半弟のキズナがダービー馬に輝きました。ファレノプシスの名がいつか祖母、あるいはその血が奥深く入り込み再び花咲かせることを願います。

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