きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

世界ランキング

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お馴染みロンジンのワールドランキングが発表されました。今回は今年初めから5月8日までのレースが集計されたものです。北半球は日本ならNHKマイルCまで、ヨーロッパはイギリスのギニー、フランスのガネー賞あたりまでが評価対象となります。南半球はシーズンの主要レースをほぼ消化していますし、北半球はこれからが本番という感じですから、南半球馬に有利なジャッジになるのはやむを得ません。もっと強い馬がいるじゃないかと異見もあるでしょうが、今年まだ不出走だったり、シーズン当初の軽いレースしか使っていない馬は評価が低くなるのも仕方がありません。

煩雑なので芝部門に限定して考察を進めますが、1位は126ポンドを獲得したオーストラリアの牝馬ウインクスでした。以前にもモーリスの強敵と少しご紹介したのですが、目下7連勝中で今年だけでもG1・3勝を含む4連勝、マイルから2000m級までカテゴリーを超える活躍を見せています。ゼニヤッタを出して一躍有名になったストリートクライ産駒です。この血は怪物牝馬を生み出す魔法のスパイスを隠し持っているのでしょうか?ライバルのモーリスは124ポンドで2位タイに付けています。どこかで直接対決というのは難しそうですが、南十字星の下も北斗星を仰ぐ国も、ファンとしては白黒をつけて欲しい気持ちに変わりはないのですが。短期免許で来日中の腕達者ヒュー・ボウマン騎手が主戦ジョッキーです。

ボウマン騎乗といえば、香港のクイーンエリザベス2世Sで圧巻のパフォーマンスを満天下に披露したウェルテルが2位タイに大抜擢され、世界デビューを果たしています。ロンジンは香港馬に甘いんじゃないかという声も聞こえてきそうですが、現実に日本の一流馬であるラブリーデイやヌーヴォレコルトが抵抗もできずに千切られたのですから、新星ウェルテルのポテンシャルにケチは付けられません。父はモンジュー産駒ながらスプリントG1を2勝しているタヴィストックというニュージーランで走った馬です。産駒はウェルテルもそうですが、父のスピードと祖父の底力を按配良く受け継ぎ、マイルから2000mあたりで活躍する馬が多いようです。タヴィストックは今年だけでも産駒がG1を5勝しています。これはガリレオもドバウィもディープインパクトも敵わない勝ち鞍世界一です。モンジューの血が中距離で無双を誇るとは、血統も進化するものです。

他の日本馬は5位タイの121ポンドでドゥラメンテ、119ポンドにドバイターフのリアルスティールと日経賞のゴールドアクター、3歳馬のディーマジェスティがランキングされています。このあたりはまだこれから力を見せてくるでしょうから、あくまで暫定評価と考えたほうが良いかもしれません。残る半年余り、場所を問わずに良いレースをして、ジャスタウェイとエピファネイアで1、2位を独占した年を超えるような大豊作を是非実現してほしいものです。

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