きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2016.4.14

アジアの時代

ようこそいらっしゃいませ。

ご承知のように世界の競馬は、それぞれの国際開放度を目安に国別に格付けされています。もともとセリ市における世界基準を統一するために生み出されたアイデアで、その格が上がるほどブラックタイプと呼ばれる馬の血統的価値を証明する書類への記載項目が増え、太ゴシック書体による強調も認められるようになります。つまり格付けの高い国の格の高いレースを一族が勝っているほど、その馬の価値は上がっていきます。ブランドの保証書みたいなものでしょうか。その最高位はパート1に組み入れられ、現在はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアなどを中心に日本も含めて16カ国が認定されています。その栄えあるパート1国に香港が編入されることになりました。生産なき競馬大国で少し違和感もあるのですが、香港ジョッキークラブの長年の競馬振興への素晴らしい情熱と粘り強い努力を誰も賞賛しないわけにはいきません。次のシーズンが始まる今年秋には晴れてパート1国入りします。日本馬にとっては香港遠征がさらに価値の高いものになります。

同時に韓国がパート2国へ格上げされます。これまでの香港と同様に特別に認定された国際競走に関してはパート1国のレースと同等の扱いを受けることができます。さっそく9月にはダート1800mのコリアC、ダート1200mのコリアスプリントが開催されることになっています。総賞金もコリアCは10億ウォン≒1億円ですから、日本の交流G1にヒケをとらない水準です。ダート競馬オンリーのお国柄ですが、国際G1は東京大賞典のみの日本ダートホースには箔付けのチャンスが増えることになりました。多くの日本馬が種牡馬として海峡を渡っていますが、これからはそうしたケースがもっと増えていくんでしょうね。もちろん、日本に都合の良い話ばかりでなく、エリアとしてのアジア競馬の質をもっと高めていく責任が日本にはありそうです。主催者は違えど、競馬としてはほぼ一体化しているヨーロッパやオセアニアの先例をキャッチアップする努力が求められます。

話は飛びますが、フジヤマケンザンが亡くなったそうです。ご存じのように祖母オキワカがテンポイントのお姉さんという血統もあって、とても人気のあった馬です。香港競馬がこれから国際舞台に乗り出そうとしていた黎明期に当時はまだG2格付けでしたが、現在の最高峰レースの香港Cの前身である香港国際Cに勝った海外遠征パイオニアの1頭です。日本調教馬で最初に海外重賞を制したハクチカラ以来36年ぶりのことでした。このレースで騎乗した蛯名正義騎手は後にエルコンドルパサーとナカヤマフェスタで凱旋門賞の銀メダルを二度獲得しています。フジヤマケンザンに教わったことも少なくなかったのでしょう。忘れてはならない名馬であり偉大な功労馬でした。きっと天国で香港のパート1国昇格を喜んでいると思います。ご冥福をお祈りします。