きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ドバイの尊厳

ようこそいらっしゃいませ。

今週スタートする海外馬券の発売は、それはそれで嬉しいのですが、そのレースやその国の競馬に織り込まれた歴史や培われた伝統に対する尊敬の念がなければ、人の褌で相撲を取るにも似たようないささか品性に欠けることに成りかねないというお話をしてきました。馬券発売で収益が上がれば、それで何かしら世界の競馬発展に貢献することも人として当然の行いだと思います。それこそ褌を引き締めて事に臨まねばならないのでしょう。

ドバイミーティング開催まで10日、カウントダウンが始まっています。世界一の賞金額ばかりがクローズアップされがちなのですが、そもそもこの競馬のコンセプトはどこにあったのでしょうか?モハメド殿下が率いる牧場名がダーレー、馬主組織がゴドルフィン。言うまでもなくサラブレッド三大始祖のダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアンが由来です。馬名通り彼ら始祖はアラブの地に生まれ、はるばるヨーロッパまで出かけて競馬という素晴らしいスポーツの成長と発展に尽くしてきました。アラブこそ競馬の聖地とドバイのホースマンは考えており、世界各地に散った始祖の子孫たちの中から強豪を選りすぐって競馬の祭典を競うにふさわしい場所だと信じるのは筋が通っています。

遠来の客をもてなす招待システムや華やかなイベントは真心がこもっています。中東紛争はご免ですが、こういう真剣勝負なら大歓迎です。宗教上の理由から、そもそも馬券発売がない国なので、日本で馬券を売るのは微妙な問題もありそうです。豚肉やアルコール類などはNGという食文化同様にデリケートな気遣いをしていくことも必要でしょうね。こういうことは慌てても良いことはないもの。たっぷり時間をかけて、いろいろな事情に考えを巡らせて、双方に一番良い方法を考えていかねばと思います。

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