きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

海の向こうの大河ドラマ

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先週のきさらぎ賞とエルフィンS、今週は共同通信杯にクイーンCとクラシック戦線が盛り上がってきました。海の向こうのアメリカではケンタッキーダービー&オークスに、前哨戦を対象とした出走権ポイント制度導入の効果なのか、毎週のように行われるプレップレースにファンの関心が集中しています。これから高ポイントのレースが増えていきますから、ファンは毎週ランキングの移り変わりに一喜一憂させられます。ポイント制度に賛否両論があるのは無論です。ダービーとオークスの前哨戦がそれぞれ別に設定されているため、強い牝馬がダービーにチャレンジするには、ダービーのプレップレースでポイントを稼ぐ必要があります。その点、日本の収得賞金優先システムは一面で公平だとも言えるのですが。

今年はソングバードという牝馬が圧巻の走りを見せていて5戦5勝と無敵の連勝街道を驀進しています。牡馬にも同じく5戦5勝のナイクィストがおり、この無敗馬対決を見たいと思うのは人情でしょう。牡馬を打ち負かして年度代表馬に輝いたレイチェルアレクサンドラと同じサドラーズウェルズ系メダグリアドーロの血統です。サドラーズウェルズラインらしい底力を授けられて生まれたのでしょうか。しかしジェリー・ホレンドルファー調教師はダービー挑戦に余り熱心でないように映ります。

バードには前記の女傑レイチェルの娘でレイチェルズバレンティーノという不倶戴天のライバルがいます。BCジュベナイルフィリーズで一度倒していますが、判官贔屓的なアメリカン気質からも人気はあちらが上でしょう。この宿敵をもう一度完膚なきまでに打ちのめさないと。そんな思いが陣営にみなぎっています。バードの鞍上マイク・スミス騎手は不敗のゼニヤッタを擁しながら、年度代表馬争いでレイチェルに敗れた苦い思い出があります。血統や歴史という縦糸に人情という横糸がからまって織り成される大河ドラマが進行中です。日本のクラシック同様に海の向こうにもご注目を。

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