きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

秋の主役に躍り出よ

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日曜東京競馬場では古馬G1の天皇賞(秋)が行われます。JRAより発表された前日オッズでは1番人気は単勝4.1倍でエイシンヒカリになりました。ついで4.3倍でラブリーデイが2番人気、ディサイファが8.2倍で3番人気、以下、アンビシャスが8.6倍、イスラボニータが10.3倍、ショウナンパンドラが10.9倍、サトノクラウンが11.3倍、スピルバーグが22.3倍とつづきます。今年の実績だけをみれば、ラブリーデイは宝塚記念を制覇していますし阪神大賞典に天皇賞(春)の長距離以外は負けなしですから、重賞2勝のエイシンヒカリよりも上。それでもエイシンヒカリの方が支持が勝るのは、エイシンヒカリが9戦8勝とまだ1度しか負けていないことや、アイルランドトロフィーで魅せた衝撃的な走りに加えて、古馬戦線の主役の座がまだ混沌と見られているところがあるからでしょうか。

逃げ馬で武豊騎手、そして天皇賞(秋)と言えば、稀代の逃走者サイレンススズカを思い起こすファンも多いのではないでしょうか。今年の天皇賞(秋)は、くしくもあの日の天皇賞(秋)と同じ11月1日の思考となりました。いったいどれくらいのタイムで走るのだろう、ただただサイレンススズカのその速さと強さに寄せていた期待から一転、悲鳴ともどよめきとも驚きともつかない騒然とした観衆の声が東京競馬場を包み込みこんだあの日の東京競馬場を今でも想い出します。
そのサイレンススズカとエイシンヒカリは、馬の個性も血統も背景も違いますから、あの日の天皇賞(秋)を連想するのは筋違いではありますが、それでもエイシンヒカリが実力を出し切ってゴール板を駆け抜けることで、記憶のどこかであの日のレースをひとつ区切りがつくというか、そんな想いもするから競馬というのは不思議です。

さて今年の秋の古馬戦線は宝塚記念を勝ったラブリーデイが圧倒的支持にならなかったように、まだ確固たる勢力図が定まっていないところがあるようです。勝った馬こそが秋の主役となるのでしょう。伝統の盾を握りしめ、ぜひ秋の主役へと踊り出てください。

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