きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

改めて感じた長編物語の面白さ

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日曜京都競馬場では菊花賞が行われました。3歳牡馬クラシック最終章、ラスト一冠を手にしたのはキタサンブラックでした。最後の直線では先頭に踊りでたミュゼエイリアンをリアファルが先に捉えて突き放しにかかるも、馬場内側からキタサンブラックが抜け出して先頭へ、さらに外からリアルスティールが強襲し、キタサンブラック、リアルスティール、リアファルの3頭の叩き合いとなりました。春話題を集めるも無冠に終わった無念を晴らそうとするリアルスティールに、そのリアルスティールを一度は破りかつトライアルのセントライト記念を勝ちながらも5番人気に甘んじたキタサンブラック、さらには夏に芝へ転向し春の勢力図をいっきに塗り替えようとするリアファルと、ゴール前は3頭それぞれの想いが強く交差するレース模様となりました。

それにしても改めて感じたのは長距離レースの面白さでした。
今年の菊花賞は先手を狙う馬が多かったこともあり、スタート直後から目が離せない展開となりました。まず先手を奪ったのはレッドライジェルでした。しかしすぐにスピリッツミノルが追って先頭へ。スッとリアファルが後ろにつけてミュゼエイリアン、レッドライジェル、キタサンブラック、そのキタサンブラックをマークするかのようにすぐ後ろにリアルスティールといった隊列での1周目でした。その隊列も向こう正面でアルバートドックが仕掛けたところで崩れていき、ミュゼエイリアンが今度は先頭へ。タガノエスプレッソらも先頭集団に入り込み、ごったがえす先団をよそに内キタサンブラック、その前に外に位置どったリアルスティールがキタサンブラックの前に出ます。残り1000mを切ったところで各馬がさらに先行勢へ押し寄せ、馬群はめまぐるしく変わっていきそして迎えた最後の直線の攻防でした。これほど変化に富んだ菊花賞は、過去あまり例がないような気もします。

勝ったキタサンブラックのオーナーはご存知演歌歌手の北島三郎さんです。もうまもなく80歳。昭和38年に馬主となり半世紀。嬉しい初のG1タイトルとなりました。本当におめでとうございます。表彰式では公約どおり「まつり」を熱唱。ファンの手拍子に合わせて「まつりだ、まつりだ、キタサンまつり~」と歌い上げ、熱唱が京都の空に響きました。今年の菊花賞は、レースも、レース後も、物語を十二分に味わえた一日となりました。

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