きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2010.12.15

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競馬には、いわゆる冠レースというものがあります。マスコミ各社がスポンサーになることが多いようです。スポンサーといっても多額のお金を出すわけではなく、カップとか盾、あと副賞の物品提供にとどまるようですが。

まだ競馬の社会的地位が低かった時代に、スポーツとしての競馬の側面を強調しマスコミの権威を利用することで社会的認知を得る狙いです。当然、報道も増えますから馬券売上も上がる道理です。競馬会の担当者はなかなかの知恵者だったのですね。

海外では先日の香港国際競走はキャセイパシフィック航空、ドバイワールドCはエミレーツ航空がバックアップしています。シンガポール国際航空Cもそうですね。これらは招待レースという背景もあるのでしょうが、それぞれ観光開発が目的になっているのでしょうね。世界中から駆けつけるファンを運ぶことも魅力ですが、招待される馬主は社会的影響力の強いVIPがほとんどです。自分の航空会社のサービスの素晴らしさを伝道してくれるまたとないオピニオンリーダーというわけです。

競馬の故郷イギリスではちょっと変わった慣習が根づいています。スポンサーから供給される資金は賞金や運営費以外にもチャリティーに回されることが伝統になっているようです。競馬というエンタテインメントをみんなで楽しみながら社会福祉にも貢献できるという仕組みですね。

キングジョージ6世&クイーンエリザベスSといえば、イギリスを代表する名誉あるレースですが、1975年から30年あまりダイヤモンド会社のデビアスがスポンサードしていてレース名もキングジョージ6世&クイーンエリザベス・ダイヤモンドSという長ったらしい上にも長ったらしい名前でした。

日本でいえば天皇賞にスポンサーがつくようなものです。右寄りの方やら何やら大変な騒ぎになるところです。ところが向こうではチャリティーという大義が存在し、女王陛下も当然のようにそれを受け入れています。こうした成熟の仕方は見習うべきだろうと思います。

お国柄によって冠レースのあり方はさまざまですが、日本ではたぶん朝日杯フューチュリティSが第1号でしょう。冒頭に述べたような狙いで朝日新聞社を巻き込み創設されたのが戦後間もない1949年のことです。NHKマイルCがダービートライアルのNHK杯として創設されたのが53年ですから、ずいぶんと長い歴史です。ちなみに冠レースでG1格付けされているのはこの2レースだけ。新聞の王者・朝日と放送の雄・NHK、目の付けどころもさすがですね。

さて、今週はその朝日杯フューチュリティSが行われます。明日はその歴史を振り返ってみたいと思います。