きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ニューヒロイン降臨

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37年ぶりの三冠馬アメリカンファラオに、“たかが”同世代対決のトラヴァーズSで土が着いて、ファンをガッカリさせたてしまったと思ったら、さすが競馬大国アメリカ、層が厚いというか奥が深いというか、ファンを熱狂させてくれそうなヒロインたちが登場しました。

このコラムでも再々ご紹介しているレイチェルアレクサンドラの初娘レイチェルズヴァレンティノがその1頭です。東海岸のリゾート競馬・サラトガの開幕早々にデビューを飾ったかと思ったら、閉幕週のG1スピナウェイSにキャリア2走目にもかかわらず出走してきて、苦もなく勝ってしまいました。クラシック・ケンタッキーオークスで20馬身余り、G1マザーグースSで19馬身余りと超絶パファーマンスを披露した母ほどのド派手さはありませんが、出遅れたデビュー戦でも慌てず騒がずキッチリ抜け出してくるクレバーさはさすが血統馬です。ファン待望のヒロインが誕生したようです。

サラトガの向こうを張って開催される西海岸のリゾート競馬は“ザ・ターフ・ミーツ・ザ・サーフ=ターフと波が出会う場所”デルマー競馬場。何ともオシャレなキャッチコピーですが、こちらでもニューヒロインが生まれています。ソングバードという牝馬が、他馬を寄せ付けない圧巻の走りでG1デピュタントSを勝ちました。無傷の2連勝はヴァレンティノと同じで、BCジュベナイルフィリーズで激突することになるのでしょうか。ワクワクのヒロイン対決に楽しみが膨らみます。

ソングバードは皮肉にもヴァレンティノの母レイチェルアレクサンドラと同じサドラーズウェルズ系メダグリアドーロ産駒。お互いの父と母父同士が同じ馬になります。おまけにソングバードの鞍上は、レイチェルの永遠のライバル・ゼニヤッタの主戦騎手だったマイク・スミスですから、ファンは嫌でも遂に実現しなかったライバル対決の新章を見る思いでしょうね。

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