きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

会員愛馬の軌跡 (2)
King of a middle distance マイル王ダイワメジャー

ようこそいらっしゃいませ。

今日は中距離王として競馬界にその名を知らしめた名馬のお話です。

2001年4月社台ファームにて1頭の牡馬が誕生します。父は日本の血統図を大きく塗り替えた大種牡馬サンデーサイレンス。母はスカーレット一族の血をひくスカーレットブーケ。ノーザンダンサーの流れを組む優秀な血族に生まれたのが後にG I 5勝と大出世するダイワメジャーでした。

牧場で育成されていた頃から大器の片りんを見せていたダイワメジャーは、その血統背景から一際注目を集めていました。年の瀬の12月、中山競馬場で新馬戦を迎えたダイワメジャーですが、パドックでの周回中に座り込んでしまうという前代未聞の出来事を起こします。結局、返し馬もままならないままスタートした新馬戦でしたが、勝ったモンスターロードに僅差の2着と秘めたる非凡な才能を見せつけたのです。
翌年、1勝馬ながら皐月賞トライアルのスプリングステークスで3着に入り、優先出走権を手に入れると、前年にネオユニヴァースとのコンビで皐月賞を制したミルコ・デムーロを背に、10番人気の低評価を覆す好走を見せ、ホッカイドウ競馬から乗り込み1番人気だったコスモバルクを破り、初重賞勝利が初G I という快挙を成し遂げました。母父にノーザンテーストを持つサンデーサイレンス産駒にとってダイワメジャーの皐月賞優勝は唯一のクラシック制覇となったのです。

その後、重度の喘鳴症(のど鳴り)を患い、長期休養を余儀なくされます。
2005年4月3日、約6ヶ月の休養を経て、復帰戦となったダービー卿チャレンジトロフィーを快勝し、翌年5歳となったダイワメジャーはついにその秘めたる才能を発揮していきます。秋の毎日王冠でG I 馬6頭が出走する中、接戦をものにし、4つ目となる重賞タイトルを手にすると、その勢いのまま天皇賞(秋)に出走。2着のスウィフトカレントに半馬身差をつけ、念願の天皇賞(秋)を制しました。
続いて挑んだマイルチャンピオンシップでもダンスインザムードら強豪馬を抑え優勝し、同一年の天皇賞(秋)とマイルチャンピオンシップの優勝は87年のニッポーテイオーが達成して以来19年ぶりとなる快挙でした。
6歳時には、ドバイでの初海外レースを経験し、さらに円熟味を増したダイワメジャーは安藤勝己騎手の好騎乗も光り、3度目の挑戦で悲願の安田記念を制します。同年のマイルチャンピオンシップも不安要素を抱える中、見事優勝し、史上5頭目となる連覇を達成しました。また、同一年マイルG I 完全制覇となり、名実ともに中距離の王者となったのです。

引退レースとなった第52回有馬記念では半妹のダイワスカーレットも出走しており、兄妹対決に注目が集まりました。
結果は、マツリダゴッホとダイワスカーレットをわずかに捉えられず3着となりましが、その類まれな才能を十分に見せてくれました。

現在では社台スタリオンステーションで種牡馬として繁用され、2009年には初年度産駒がデビューし、カレンブラックヒルがNHKマイルカップを制し、2010年産駒のコパノリチャードが高松宮記念を制するなどダイワメジャーの優秀な血は後世に引き継がれています。
中距離戦において彼が残した功績は、まさにマイル王と呼ぶに相応しいものでした。

◇ダイワメジャー◇
2001年4月8日生
父 サンデーサイレンス
母 スカーレットブーケ
生産 社台ファーム
馬主 大城敬三
調教師 上原博之
28戦9勝〔9-4-5-10〕
皐月賞〔G I 〕2004年
天皇賞(秋)〔G I 〕2006年
マイルチャンピオンシップ〔G I 〕2006年・07年
安田記念〔G I 〕2007年

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