きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

芦毛の怪物伝説への序章

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日曜東京競馬場ではエプソムカップが行われました。
勝ったのは4歳馬エイシンヒカリでした。スタート直後に先頭に立ったゲシュタルトを持ったままで交わして先頭を奪い、1000mの通過タイム59秒2、上がり3ハロンは34秒6でレースをまとめてそのまま逃げ切っての勝利でした。ゴール前の直線の攻防では、内からサトノアラジンが強襲、さらに外からディサイファも追い込んできましたが、2着サトノアラジンの猛追をクビ差退けての優勝でした。

エイシンヒカリは昨年4月に3歳未勝利戦でデビュー。2着に5馬身差をつける勝利で才能の片鱗を魅せると、2戦目の500万条件もスピードの違いで3馬身差をつけ完勝し、以後逃げて逃げて逃げまくり連勝街道を走ります。そのパフォーマンスの凄さで周囲の度肝を抜かせたのは、5戦目の東京競馬場・芝2000mで行われたアイルランドトロフィーでした。

このレースでもスピードの違いからスタートから先手を奪って前へ前へ突き進み、後続を大きく離してレースを引っ張ります。1000mの通過が58秒2でペースを作ったエイシンヒカリと後続との差は10馬身以上。そのまま逃げ切り濃厚と思われていた最後の直線でした。ここでエイシンヒカリはなんと大きく外へ外へ外ラチ沿いへ向かって走り始めます。後続馬が馬場歳内から押し寄せる中、エイシンヒカリはただ1頭、馬場の大外へ向かって走りつづけ、それでも古馬相手に3歳馬が3馬身半差をつけての快勝でした。

この勝利で一躍その名を轟かせたエイシンヒカリでしたが、昨年暮れの初の重賞挑戦となったチャレンジカップでは単勝1.9倍の1番人気に支持されるも9着と苦渋を味わう結果に終わりました。そして都大路ステークスを挟んで、今回が再度の重賞挑戦でした。

エイシンヒカリは父ディープインパクトで母父ストームキャットの血統です。武豊騎手とのコンビはこれが2戦目。逃げ馬で武豊騎手と言えば、稀代の逃亡者サイレンススズカを想い出すファンも多いことでしょう。エイシンヒカリはこれで8戦7勝となりました。サイレンススズカは春先のオープン・重賞を逃げて連勝し宝塚記念前哨戦の金鯱賞では菊花賞馬マチカネフクキタルも含めて他馬を寄せ付けず、テレビ画面に入りきらないほどの大楽勝で物語の階段を駆け上がっていきました。初の重賞タイトルを手にしたエイシンヒカリは、これからどのような物語を刻むのでしょうか。2着に入ったサトノアラジンと共にまだ4歳馬。今後がさらに楽しみになっていきます。

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