きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

アリダーの呪い

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今週末のアメリカは三冠最終戦ベルモントSでアメリカンファラオが1978年のアファームド以来37年ぶりの三冠馬誕生に向けて爆走します。大西洋を挟んだイギリスでは伝統のエプソムダービーですね。こちらは本命馬不在の混戦模様が漂っているようです。今日と明日、当欄はこの競馬界の頂上イベントの話題をお届けします。

37年前と言えば、日本ではアイドルグループ・キャンディーズが後楽園球場でのファイナルコンサートで涙の引退式、入れ替わるようにサザンオールスターズが強烈なインパクトを振りまきながらデビューした年です。プロ野球は万年最下位だったヤクルトが日本一の座をもぎ取り、日本ダービーではサクラショウリが勝利して、オーナーの系列のスーパーで大特売、パチンコホールでの出玉の大盤振る舞いがマスコミで話題を呼びました。サクラの馬が勝つと嬉しいことが起きる、と競馬を知らない人たちまでが競馬の結果に一喜一憂するような社会現象になったのを覚えています。今年のクラシックではキタサンブラックの北島三郎さんが、勝ったらヒット曲『祭』を盛大に歌う、と別な意味で期待を集めました。個人馬主ならではのパファーマンスは良いものですね。個人馬主の皆さんには、もっともっと頑張ってほしいです。

さて、37年前の三冠レースは、すべて1着アファームド、2着アリダーと同じ顔ぶれでした。ケンタッキーの1馬身半からピムリコでは頭差に、そして最後のベルモントでハナ差まで追い詰めたアリダーでしたが遂に及ばず・・・、この無念の思いは深かったでしょう。12年後にサンデーサイレンスが三冠に王手をかけて臨んだ最終関門で、偉業を阻んだのはアリダー産駒のイージーゴーアーでした。ベルモントにはアリダーの呪いが生き続けているのでしょうか。その14年後、ファニーサイドの三冠を阻止したアリダーの呪いの伝道師は、アメリカンファラオの祖父エンパイアメーカーだったのは皮肉です。

いろいろなドラマを孕みながらも、アメリカンファラオのアリダーの呪いを解く偉業達成の瞬間は刻一刻と近づいているようです。今後こそ大丈夫というファラオへの信頼感が増しています。アメリカンドリーム成就の歓喜を味わったことのない世代にも、古き良き時代の感動をしっかりと伝えてください。

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