きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

トゥクソム杯と根岸Sのご縁

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6月7日に韓国競馬の伝統ある重賞競走『トゥクソム杯』が日本馬の参戦を含む国際交流競走として行われます。トゥクソムは現在のソウル競馬場の開設以前の韓国競馬のメッカとして『漢江(ハンガン)の奇跡』と呼ばれた韓国経済の復興と成長に貢献した象徴的建造物で移設以降は、『ソウルの森』として市民の憩いの場になっています。日本でいうと競馬の黎明期に開かれ欧米列強との親睦を進める開国外交の象徴だった根岸競馬場のような存在でしょうか。その由緒ある競馬場も今では根岸森林公園として親しまれ、ダートG3『根岸S』にその名を留めるだけになっています。いつか『トゥクソム杯』と『根岸S』が日韓競馬の架け橋として交換グレードレースになる日が来るような気もしています。

『トゥクソム杯』には日本から2頭がエントリーしています。
かつては香港国際競走の顔だった天皇賞馬ジャガーメイルで海外遠征の先駆けとなった当協会会員・吉田和美さんの愛馬、地方交流G2関東オークスの勝ち馬エスメラルディーナ、ダート短距離のスペシャリスト・ローブデソワの両馬です。ローブは一口法人のシルクレーシングの所有馬となります。このところキャロットファーム、サンデーレーシングなどのクラブ法人馬の海外遠征がひときわ目立つ印象もありますが、どこであれ出かけていく勝利への貪欲さは立派なものです。こうした一個人、一法人の様々なリスクを背負いながらの挑戦をJRAも後押しをためらっている場合じゃないでしょう。競馬の価値向上、市場の拡大に積極的に力を貸すべきです。

韓国競馬はまだ発展途上ですが、アメリカをお手本として一流種牡馬の輸入にも熱心で、ダートスプリント分野なら侮れないスピードを披露する馬も現れてきているようです。創設当初はこの先100年は外国馬に勝てないと言われていたジャパンCも今や日本馬の独壇場になった歴史があります。隣国のレベルアップへの情熱には敬意しか感じませんが、エスメラルダ、ローブにも頑張ってきてほしいものです。

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