きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

競馬爛漫

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毎年ゴールデンウィークを迎えると世界各地で競馬が活気づき一夜にして満開の花が咲き乱れる豪華絢爛な光景が訪れます。今週はアメリカで早々とケンタッキーダービーが開幕します。
三冠シリーズの頭にクライマックスを持ってくる発想は、たぶん日本人には希薄なもので新鮮な驚きがありますね。イギリスでは牡馬の2000ギニーと牝馬の1000ギニーが。シーズンはじめで有力馬はぶっつけで臨むのが普通ですから調子の見極めが馬券上の重要なポイントだったりします。しかし今年は2歳チャンピオンを争ったような実力馬たちが案に相違して緒戦を取りこぼしているケースが目立つようで難解さに輪をかけているクラシック戦線の幕開けです。

日本ではダービートライアル・青葉賞が土曜を盛り上げ、古馬の頂上対決である天皇賞春が日曜のメインとなります。長距離レースの地位低下が指摘されて久しいのですが、天皇賞春はレーティングで長距離戦の世界トップを占めます。もともとレーティングの高いゴールドシップの参戦や連覇中のフェノーメノの奮闘が大きく貢献しているのですが、このカテゴリーではメルボルンCを凌ぐ存在感を示しています。背景には日本人ホースマンの天皇賞への特別な想いの深さが横たわっているのは間違いなく、世界のトレンドに与するのも良いのですが、天皇賞の価値観を見直す必要もありそうです。

議論はいろいろあるでしょうが、距離3200mにこだわる必要はないだろうと思っています。発祥とされる1905年に施行されたエンペラーズCや、前身の帝室御賞典も3200mではない時期が長かったようですし、ダートで行われた記録も残っています。天皇賞とは、一番強い馬を選び出すレースの最高峰であり、距離はそのときどきの競馬観に左右され絶対的なものではなかったような気がします。歴史も伝統も大事なのですが、それにはそれなりの理由があってのことだったと思います。
日本という国柄において、天皇賞の在り方を考えることは、競馬それ自体を思想することなのかもと思い始めています。

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