きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ようこそいらっしゃいませ。

先週末の2000ギニーを5馬身差で圧勝したドーンアプローチ、ボルジャー調教師はこの馬の遺伝子がスプリンター型のためダービーへの距離適性を不安視していると伝えられます。

父ニューアプローチはダービーなど中長距離で活躍しています。その父ガリレオは現代の最高峰種牡馬、距離は問題ありません。父母パークエクスプレスは短距離系のアホヌーラ産駒ですが、自身は愛チャンピオンSなど10F~12Fを得意としていました。ダンチヒ系グリーンデザートとの間に藤沢和雄厩舎で走った高松宮記念などのシンコウフォレストがいます。父系の良さを素直に引き出す名繁殖牝馬なのでしょう。

生産者としても輝かしい実績を持つボルジャー師はニューアプローチにヒムオブザドーンという牝馬を配合します。その父はフォーントリック、アメリカ生まれのスプリンターです。この馬の父系祖父にアイスカペイドの名が見えます。悲劇の名牝ラフィアンの半兄という良血馬で父二アークティック、母父ネイティヴダンサーの配合です。この配合でもっとも成功したのがノーザンダンサーでニューアプローチの父系曽祖父にその名が見えます。つまりドーンアプローチの体内には同配合同士のノーザンダンサー≒アイスカペイド4×3の血が流れています。

明らかにボルジャー師が意図して実行した配合でしょう。狙いは芦毛の怪物ネイティヴダンサーの蘇りにあったのでしょうか。アイスカペイドはノーザンダンサーの8歳下に生まれましたから種牡馬デビューした時はノーザンダンサー牝馬だらけでした。配合相手に恵まれたとは言えません。それでも細々と血を繋いで今は大主流ノーザンダンサーの傍で二アークティック系の異系として異彩を放つようになりました。

ノーザンダンサー≒アイスカペイドの配合で有名なのが勝ち鞍10勝すべてが1200mだったビリーヴですね。彼女の母はノーザンダンサー≒アイスカペイド2×2でした。ビリーヴの馬主の前田幸治さんはアイスカペイドが3代父のトランセンドを種牡馬としてデビューさせています。いつかドーンアプローチのような馬が日本で走るのでしょうね。

×