馬事叢論 活動報告、提言など

第3回「茨の道を乗り越えたモンマスパーク競馬場(後編)」

アメリカで見たこと考えたこと 第3回「茨の道を乗り越えたモンマスパーク競馬場(後編)」

アメリカ競馬研修ツアー、最初の訪問地は“競馬改革”に取り組むモンマスパーク競馬場の模様をご報告しています。 さて、前回でお伝えした“ビックリ仰天”事件、今回はその内容からお伝えしましょう。

訪問当日のモンマスパーク競馬場は、ハドソン川の向こうのベルモントパークと同時開催とあって、(しかも同競馬場の最大レース・ベルモントSとかぶります)ちょっと寂しい入場人員でしたが、それでも“改革”の成果か、去年に比べると倍近いということです。

当協会の会員さん、日本各地はいうに及ばず、海外でも愛馬を走らせている方々が少なくありません。(海外では馬主資格が簡単に取得できることもあります)
その日のモンマスパークにも偶然でしたが会員の愛馬が出走、みごとに優勝してしまったのです。

下級レースとはいえビックリ仰天うれしさ最高の結果となりました。

凱旋門賞やブリーダーズCばかりが国際レースじゃないぞと、馬に教えられた気持ちです。こうした地道な積み重ねが、いつか大輪を咲かせるのだ、と。

終盤には本会の来場を記念して当協会の冠レースが実施され、本当にインターナショナルな雰囲気で競馬が楽しめました。

さて、モンマスパークの“競馬改革”、結論から申し上げると、大成功を収めました。開催日数を82日から49日へと4割も削減したにもかかわらず、売上は昨年比87%増、平均入場者数も47%アップ。その要因は関係者の狙いどおり出走頭数の増加にありました。
賞金額そのものをアップしたのに加えて、4着までだった賞金対象を5着以下最下位まで拡大したからです。

日本では除外馬が山をなす状況ですから事情は違います。

JRAが一括管理するのと州ごとに認可規制され、それぞれの競馬場に経営努力が求められるのとでは、手法やスケールにおいて大きな差があるのは事実です。

しかし競馬を面白くするために何が必要か、ファンの心をギュッと掴む競馬とはどんなものか、模索し探り当てなければならない真実はひとつでしょう。

大変なのはこれからかもしれません。
モンマスパークの改革は、いわば“リストラ”策です。一般にリストラ直後はV字回復が見られることが多いようです。

しかし戻った水準を維持し、さらに成長を重ねるのは至難です。

モンマスパークの勇気あふれるホースマンたちの果敢なチャレンジに今後も拍手を送りつづけたいと思います。

※この記事は2010年10月12日に公開されました。


×